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靴の履き方 合わせ方

 靴には色々な種類があります。当然ながらそれに応じた履き方があります。
ここでは、「履き易い」と言う言葉を大きく二つに分けて話を進めましょう。

 

 自分が靴屋の店頭にいてよくお聞きする、お客様が口にする言葉・・・「履き易い靴・・・!」

 では、この「履き易い靴」の意味とは何でしょう?
 この言葉の中には「脱ぎ履きし易くて歩きやすい靴」と言う意味がありありと見えています。しかし、この「脱ぎ履きし易い!」と「歩き易い!」は
靴として考えたとき全く正反対の言葉なのです。

 脱ぎ履きし易い靴は言い換えれば、脱げ易い靴です。
したがって、脱げなくなるようにサイズを下げます。
 当然ながらサイズを下げることによりつま先のゆとりも少なくなり、靴の内壁につま先が当たりやすくなるのですから
「柔らかい靴」を選んで足当たりを和らげると言った行動に出ます。

 しかし、そこでよく考えてください。

 当たりを和らげると言うことは負担を軽くしているだけで負担をかけていないのとは違うのです。
このわずかな負担の積み重ね、これが「外反母趾」であり「胼胝、魚の目」のすべての根源なのです。

 脱ぎ履きのし易い靴は指先に負担をかけずに履くことの難しい靴なのです。
 さらに付け加えれば、
今の足の障害である「外反母趾、胼胝、魚の目、クロートゥ、etc・・・」の
ほとんどはこの脱ぎ履きし易い靴によって造られてきたものなのです。

では、どうすれば足を痛めずに歩き易い靴を選べるのか?

 答えは、簡単です。

 靴の基本は踵です、踵をしっかりと付け、指先に1,2~1,5cmのゆとりを取り、靴の中で足がゴソ付かないように甲をしっかりと締める。(締めすぎは足の甲が痛みますが・・・(^▽^;)。)

 「脱ぎ履きはわずか1~2分。でも、足の痛みは1時間でも2時間でも付きまといますよね・・・!」私が、いつも口癖に様に言う言葉です。

面倒がらずに頑張ってみましょう!半年も我慢すれば、この履き方は習慣になります。

 
 
???細薄足(さいはくそく)???


 細薄足の方は以前も話したように、足の丈が長く幅も細く甲が薄い訳ですから、今店頭で販売されている甲高幅広の靴では(俗に言う3Eや4Eの靴)本来,丈も甲も会う筈がなく指先の詰まる様な履き方しかできません。
ましてやこの足に合う靴を作れば甲周りが狭いわけですから脱ぎ履きがし難くなり甲高の方に至っては薦めることの出来ない靴になります。ただでさえ脱ぎ履き優先の靴事情の中で、靴メーカーも売りにくい靴は造ろうとしてくれないのです。

 結果、指先に負担の掛かる靴しか履けずに(と言うよりも靴はそういうものだと疑いもせず履いているから。)足を痛めている子供たちが、今多くなっているのです。

 私も、この仕事についてから保育園、幼稚園、小学校、中学校と色々な足を見てきましたが、最近の小学生(特に高学年)の足が非常に気になります。
 男女差は確かにありますが、細薄足はもちろんのこと、外反母趾予備軍とも言うべき足の多いこと・・・これは小学校の高学年になって始まる訳ではなく、靴を履き始めたときからの積み重ねがこうさせているのです。

 子供さんをお持ちの方々や靴に不満を持っている方々へ、デザインや脱ぎ履きばかりに気を取られていると、本当に歩き易い靴が選べなくなります。
 特にお子さんをお持ちの方には少しきつい言い方ですが、人は生まれたときから靴と言うものを知っている訳ではありません。親が子供たちに靴と言うものを教え、伝えてゆくのです。
 以前流行った言葉ですが、「マインドコントロール」子供たちは親を信用して靴を履いていくのです。

 教える側が足のために良い靴を間違って捉え、この先も子孫に伝えてゆく!考えてみれば恐ろしいことだと思いませんか?

 今、自分達が出来ることはそういった靴や間違った履き方を直してゆくことではないと思ってます。
なによりもそんなことが出来るとも思いません。

 最後に靴を選ぶのは皆さんですから、その皆さんが「こんなときはどんな靴を履けば良いのか?どんな靴が足を痛めるのか?そしてどのような履き方をすればいいのか?」と言う疑問を持ったときにそれに対して適切に対応し、皆さんが間違った靴の履き方で足を少しでも痛め続けないように応援してゆくことだと思ってます。

 自分なりの履き方がありますよね。何年と続けてきた履き方です。そう簡単には直らないと思います。しかし、
正しい履き方や選び方を知っていれば、自己防衛はできるのではないでしょうか!

一般的に保護者の皆様は、自分の親がしてくれたように(靴擦れをしないように踵の柔
らかい、脱ぎ履きがさせ易いように)スリップオンやマジックの靴を選びます。

 実はこの時点で第一の間違いが始まっているのです。

 何が間違っているのか?まず踵の柔らかいと言うところ、履き口が柔らかいのは悪くはないのですが、踵骨(踵の骨)のぐらつきを押さえ、しっかりと立つようにサポートする為の月型芯という靴にとっての命とも言うべき大事なパーツを外した靴までが重宝がられているのです・・・。さらに脱ぎ履きがし易い靴(特にスリッポンなど)は、足をきっちりと固定することなど初めから考えてないただの飾り物状態なのです。

 では、仮に硬めの月型芯の入った靴を選んだとしましょう。でも、今度はその履き方が問題となってゆくのです。靴に足を入れ紐やマジックといった締め具で甲を締め足を固定する、しかしその時にちゃんと月型芯に足の踵が付いているか?踵がしっかりと付いていない状態でいくら甲を締めてもそれはただのごそごその靴でしかないのです。

 足を入れてから脱げない程度にマジックや紐を締める、スリップオンならなおさら履かせっ放しになるになる。これでは、いくら月型芯の硬い靴を選んでも足をしっかりと固定したことにはならないのでしょうね。

つまり、靴の選び方も大事ですが、良い靴もその履き方次第では宝の持ち腐れ、強いて言えば足に良くない靴にもなりかねないのです。
             
            次に偏平足についての話です。            

 土踏まずは3歳から6歳ぐらいにかけて形成されてゆきます。すでに踵の骨が外反していればこの状態からなる土踏まずは既に正常なアーチとは言えないでしょう・・・。俗に言う、
「仮性偏平足」なのです。

 この時期の皆さんの靴の選び方はどうでしょう?

 このときと限った訳ではなくほとんどの場合に皆さんは出来るだけ軽い靴を選びたがります。しかし、今の軽量と言う靴のほとんどに本来靴に必要であった大事な機能まで削り取った靴が多いのです。
 先ほどのも一例ですが軽量するが故に土踏まずの低下予防のためのシャンクと言うパーツを抜いてみたり、さらにはシャンクを抜いた状態で踏まず部分の本底を削ってみたり、確かに外観的には格好もよくなり人気もありますが、ただでさえ土踏まずの筋力の弱い細薄足の足にこの様なものを履かせれば踏まずの骨格が正常な高さに生育するとは思えません。

 少しぐらい重く感じても本底のしっかりとした、出来ればアーチサポーターが医学的にちゃんと入ったもの、月型芯、シャンク、などなど足をしっかりとサポートできる紐靴といった機能のしっかりした靴を選ぶことが理想です。

 そして、忘れてはいけないことは靴選びが確かでもその靴の履き方が間違っていれば、
結局同じだと言うことです。
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